旅立ちのみどり
ギャラリーあ
五月のみどりと出会うこと、それはこの月のはじまりに生まれた自分にとって、いつからか特別な習わしのようになっていました。新緑の光と風を、そのさざめきを思うたび、みどりは、本当はどんな色よりもかけがえのない色だったのではないかという思いを、季節の巡りと共にますます深めていきました。
今年の五月を最後に、作家は住みなれたこの土地を離れ、遠くへと旅立つことになります。一つの節目を迎える新緑の日々のなかで、逡巡する様々な思いを絵に託し、かたちあるものとして目に、手に届けられればと思います。
【期間中のイベント】
喫茶
5/18(土) 19(日) 13:00〜18:00
展示と共に珈琲とパンをお楽しみいただける二日間です。
珈琲/加茂歩美
パン/ラトリエテンポ
演奏会
19(日) START/16:00
みどりの季節にふさわしいお二人をお招きして、演奏会を行います。
音楽/ごがつの日
五月生まれ同士の田川薫(ウクレレ、歌、口笛)とカキシマゾゾミ(ギター、歌)による音楽ユニット。特別じゃないようで特別に思える、そんなことを歌っています。
お越しいただいたみなさま、どうもありがとうございました。
冬の個展からゆっくりと息をつく間もない日々の中で、それでもここでもう一度だけ展示を、と自分のわがままを聞き届けてくださった天野さんには、本当に感謝しています。この空間でなければ、これほどのびのびとした展示ができることはまずなかったと思います。
3年前、新たな気持ちで絵を軸に活動をはじめた最初の個展のとき、紙を切り合わせてつくった様々な生きものたちを展示・販売しました。今回の展示の中心となったみどりの子たちもそれに似ていて、色紙をちぎり、貼り合わせるあそびの中で生まれたものたちで、自らの原点に帰っていくような感じがしました。すみずみまでうつくしい表現、というより、まずしさやふざけ・やぶけをどこかで捨てずにいたいという気持ちがあり、今回はだいぶ前面にあらわれてしまいましたが…あそびと広がりの予感、そこから伝う熱のようなものを、見る人に少しでも届けられたならうれしいです。
最終日、「ごがつの日」のおふたりによる演奏は本当にすばらしかったです。新緑の光のような音楽が風となって会場をかけめぐり、みどりの子たちがくるくると踊りだす…そんな風景と立ち会えたとき、ずっとこの空間をキャンバスに見立て描き続けてきた絵が、ようやく一つの完成をむかえたように思いました。五月のみどりが呼び寄せた、ありがたすぎるご縁でした。
喫茶というかたちで、展示に彩りを添えてくださった珈琲のかもさん、ラトリエテンポの古山さんの存在もうれしくて。(珈琲もパンもおいしすぎました…)自分ひとりでは決して生まれえない風景が、最後の二日間そこかしこにあふれていたのは、おふたりの力添えによる部分がとても大きかったように思います。心強い限りでした。
会場の接客や一部デザインをお手伝いしてくださった小粥さんにも感謝です。
ひとりでは決してつくることのできない場であったことを、いまあらためて噛みしめています。
展示はまだ大阪の個展が残っているので、あと少し、走りつづけたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。