Hayato Kumagai
Hayato Kumagai
arca (haruka nakamura & LUCA)
世界
2020
CDアートワーク

アートワークの絵を描かせていただきました。
尊敬してやまないおふたりからお声がけいただき、音楽に絵を添えさせていただけたこと。感謝しかありません。

「世界」から感じたことのすべて、とりわけはじまりの予感に満ちあふれた光、を
ときに胸をふるわせ、目頭を熱くしながら、ドローイングにこめました。
より多くの人々のもとに、このうつくしい音楽が届くことを希っています。

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haruka nakamuraさんの音楽を初めて聴いたのは五年前、まだ自分が東京で会社勤めをしていた頃だった。
大学生活の終盤におおきな挫折感を味わい、当時絵を描くことはあくまで自分のための趣味とわりきっていた自分にとって、青天の霹靂のような作品との出会いが立て続けに起こった。
その最たる出会いの場、吉祥寺のOUTBOUNDというお店で、harukaさんと青木隼人さんによるアルバム「FOLKLORE」は流れていた。無数の未見のイメージが瞼の裏を去来し、絵は変容の旅をはじめた。灯台のように彼らの音楽は、そのよるべであり続けた。

四年後、それまでの括りとして万感の思いをこめて描いた巨きな絵が、大分・カテリーナの森の最後の音楽祭へと僕を導いた。そこで最後の演奏をつとめられていたharukaさんと、初めて言葉を交わした。僕がここまで来られたのはharukaさんのおかげです。思わずそうお伝えしてしまったことを憶えている。

それから一年後、LUCAさんという類い希な唄い手と共に、harukaさんは「世界」を形にしていくなかで、僕に声をかけてくださった。絵を描くことを続けた先にこのような出来事が待ち受けているなんて、想像もしなかった。必然などという言葉を安易に口にすることはしない。けれどたしかな流れはあって、それを信じて生きることは時に無類の光を生む。

arcaの「世界」は僕にとって特別な音楽だ。ここに辿り着くまでの自分の軌跡を、思わず重ねてしまわずにはいられないから。
この先どうなるのかはずっとわからない、けれど進み続けることはできる。幾度となく世界ははじまりとおわりを繰り返す。そのくりかえしの彼方ー永遠と、あえかなる現在とを結実させることこそが、自らのすべきことなのかもしれない、と。
絵を描くことは、それを全うするための何よりも揺るぎない一歩なのだと。