巨きな絵の巡回展
風の舟

三ヶ所目

しろくま座(長野・喬木村)

2023/7/20~24

しろくま座 一階・喫茶空間の展示風景
しろくま座二階にて、天井画となった巨きな絵 しろくま座のクリームソーダ 夜喫茶の日、一階の喫茶室 2023.07.21 しろくま座のなつさん、ひさこさん、ほーちゃんと

しろくま座は巡回展が行われた2023年7月にオープンした、築90年以上経つ小さな洋館風古民家(もとは村の診療所だったそうです)を改装したカフェです。二階はギャラリースペースとなっており、そこでの最初の展示として巨きな絵の巡回展を行わせていただくことになりました。

しろくま座をオープンした友人・塩澤尚子さんとの出会いは、まだ自分が大学生だった頃でした。その頃ひさこさんは絵本を描いていて、自分も今とはだいぶ違う画風で、イラストや絵本を描いたりしていました。
時は流れて、久しぶりに再会したのが2019年のこと。ひさこさんは長野で現在しろくま座を一緒に営んでいるパートナーのなつさんと出逢っていて、自分は何だかんだ絵を描き続けていて、それぞれの道を歩き続けていることを確かめられたことが、とても嬉しかったことを憶えています。

巡回展の開催地を探しはじめたときにひさこさんが声をかけてくれて、2023年4月にまだお店がはじまる前のしろくま座を初めて訪れました。そのうつくしい空間と、辺り一帯ののどかな風景にすっかり魅了されると共に、ひさこさんが然るべき場所へ辿り着いたように感じられて、静かに胸が熱くなりました。
さらにその時ご依頼をいただき、しろくま座のショップカードのデザインを自分とパートナーの邑里さんとで手がけさせていただくことになったことも、とても嬉しい出来事でした。

しろくま座二階にて、天井画となった巨きな絵

本来の展示日程は7月13日から22日までを予定していたものの、熊谷が雨灯での展示終了直後に体調を崩して寝込んでしまい、やむをえず会期を数日遅らせて、7月20日から24日までに変更することに。これに伴い、ひさこさんの要望もあって15日に予定していた音楽家・里花さんによるライブも中止となってしまい、大変申し訳なかったです。
巡回展の過密スケジュールをこなすうえで、自分の身体をいたわることをつい疎かにしてしまいがちだったことを、この時深く反省しました。(実際にはこの後も巡回展のあいだに何度も体調を崩すことになるのですが…)

巨きな絵の展示は、二階のギャラリースペースで座ったり寝転んだ状態で見上げながら絵を観ることができるよう、柱に取り付けました。会期中の喬木村は気温が高く、窓を開け放って扇風機もつけながらの展示でしたが、日々風をはらんでいく絵の姿は、どこかうれしそうにも見えました。

一階の喫茶室では、巨きな絵以外の作品を展示しました。また巡回展にいつも同行してくれているパートナーの邑里さんも、今回写真を少しだけ展示しました。展示、ということに自分以上に葛藤を抱いてきた邑里さんでしたが、嬉しい反応が今回幾つもあったようで、自分も嬉しかったです。

夜喫茶の日、一階の喫茶室 2023.07.21

7月22日は特別企画として、しろくま座にとっても初めての試みとなる夜喫茶を行いました。一階喫茶室・二階ギャラリースペース共にくらがりに蝋燭を灯された空間はうつくしく、また偶然にも近くで花火大会があったようで、祭りの気配も感じつつ夏の夜気につつまれて、忘れがたい時間を過ごすことができました。

連日在廊しながら喫茶もさせてもらい、しろくま座の絶品バスクチーズケーキを二人で毎日のようにいただくなど、ちゃっかりお客さんとしても思う存分堪能してしまいました。会期中に提供されていたクリームソーダは、純喫茶におけるひとつの理想がぎゅっと詰まっているように感じられて、その佇まいに思わず声をあげるほどの完成度でした。

しろくま座の美しいクリームソーダ

展示期間中は自分も邑里さんもしろくま座に滞在させてもらい、寝泊まりからお食事まで、ひさこさんとなつさんには本当にお世話になりました(なつさんの朝ご飯のおいしさといったら!)。ふたりの子どものほーちゃんとも一緒に、まるで夏休みのような日々を過ごすことができて、とてもしあわせでした。
展示期間中に夜な夜な話し込んで、線香花火を楽しんだのもいい思い出です。

しろくま座のなつさん、ひさこさん、ほーちゃんと
二ヶ所目
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