巨きな絵の巡回展
風の舟

五ヶ所目

Cafe Millet(京都・京都市)

2023/8/11

OUR songsと巨きな絵 Cafe Milletの庭にて(photo: Aya Okazaki)
Cafe Millet 店内での展示風景、窓から見える庭には巨きな絵 日下部邑里 展示風景 総勢20名以上で、あっという間に画面が埋まったOUR songs 青木隼人さんとのLive Painting "My song" live後の巨きな絵の前で焚き火(photo : Aya Okazaki)

北海道・新潟・長野・岐阜と、2023年5~8月にかけて続いた巡回展・第一部とでもいうべき日々の最後は、京都・Cafe Milletにて締め括られました。

Cafe Milletは京都市内から少し離れた里山・静原にある、予約制のレストランです。オーナーの隅岡樹里さんによる、まるで絵画のようにうつくしいお料理たちは、旦那さんの敦史さんが農場で育てたお野菜たちでつくられていて、食べるという体験を越えて自然の営みや生命の循環に自分たちが在ることを、深いところから呼び覚ましてくれます。
邑里さんが京都に住んでいた頃の大切な場所として、Cafe Milletのことを自分に話してくれて、そこからご縁が繋がって巡回展をさせていただくことになりました。

そして今回は京都に住む音楽家の青木隼人さんにもお声がけして、一緒にLive Paintingを行うことになりました。
いつか何かの機会にご一緒できたら、と以前より思い続けてきた自分にとっては、それが巡回展で実現できたことが非常に感慨深かったです。

Cafe Millet 店内での展示風景、窓から見える庭には巨きな絵

展示前日に屋内の展示設営を終わらせて、当日11日の朝から巨きな絵の野外設営。今回も色々あって難航を極めましたが、Milletのあつしさん・じゅりさんの助けもあって、どうにか木に取り付けることができました。この日は風も吹いており時折高く舞い上がった絵はところどころ破れてしまいましたが、なんとか最後まで展示し続けることができました。

日下部邑里 展示風景 この日の店内では、Milletによる喫茶と共に巨きな絵以外の作品をご覧いただきました。また庭文庫に引き続き、パートナーの邑里さんによる写真の展示も行われました。邑里さんにとって大切な場所で展示ができたこと、地元の繋がりのある人たちとたくさん再会できたことで、充実した展示となったようでした。

総勢20名以上で、あっという間に画面が埋まったOUR songs

16時半すぎ、巨きな絵の前で一枚の紙にみんなで絵を描くOUR songsを行いました。 参加者は総勢20名以上はいたでしょうか、外側から静かに絵が描かれていくかと思いきや、子どもたちが我先にと画面の中へ中へと足を踏み入れる、踊るように絵の具を撒き散らす子もいる(手足も鮮やかになる)、数名の大人も両足を鮮やかに踏み込んでいく、いつの間にか全体が絵の具まみれになり、紙も破けてしまう。それでもシートの上から描く、描く…
約1時間のなかであっという間に画面が埋まってしまいましたが、それでもさらにどんどん描こうとする子どもたちの勢いに、ああそうだった、と何か確かめられたような気がして、なんとも頼もしく、微笑みがとまりませんでした。
夢のようなひととき、満ちあふれた時間となりました。
誰よりも遊んでいたかもしれない男の子たちが、最後に率先して絵筆とバケツを洗ってくれたことが印象的でした。

青木隼人さんとのLive Painting "My song"

そして夕闇がせまるなか、青木隼人さんと行ったLive Painting ”My song“。
時に瞑想的な、時に夜空を飛び森を駆け深い海を潜るような時間のなかで、途中からは暗闇に近く何を描いているのか自分でも判然としないまま、刻々と絵は生まれていきました。夕方に見つけたカニを描いたり、地面に絵具をこぼして足ですくい画面に叩きつけたり、紙をちぎったり、画面にとどまらず鹿の骨や鳥の羽で空に線を描いたり、画面に投影される陰影を線に見立てたりするうちに、気がつけば1時間が過ぎていました。
自分ひとりでは泳げないところまでも、青木さんのピアノが”そこにある、そこにいる”と音で伝えてくださったようで、心強い限りでした。とけあう、というよりは個々で深く潜りながらそれぞれの世界を併走し(My song!)、共時的に場が、音が、絵が生まれたという印象があります。
絵は、音楽は、まだまだ遠く未知のところへ自分を運んでくれると強く信じられたひとときでした。有難い機会を、ほんとうにありがとうございました。

Liveのあと、最後に巨きな絵の前で火を焚いていただいたのですが、自分と邑里さんはLiveの片付けやお客さんとゆっくりお話をしているうちに見逃してしまいました。でもそれはそれで良かったような気持ちもあります。この日の光景をたくさん撮影してくださったAya Okazakiさんのお写真を見て、最後に絵が燃える姿をそこに重ねることができました。

じゅりさんの言葉をお借りするなら、まさに”パーフェクト”な一日だったと思います。 巡回展の第一部の終わりにふさわしく、このうえない一日でした。

live後の巨きな絵の前で焚き火(photo : Aya Okazaki)
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