巨きな絵の巡回展六ヶ所目
菅野牧園(北海道・栗山町)
2023/10/7~8

ビニールハウスに立ち上がった巨きな絵 2023.10.8
初めて訪れた日、菅野牧園さんのレストランで 2023.3.21
巨きな絵の前でOUR songs 2023.10.8
トーク&対話イベント 2023.10.8
巨きな絵の撤収前に、牧草ロールの上で記念写真北海道二カ所目となる栗山町・菅野牧園さんでの巨きな絵の展示は、ビニールハウスの中で行われました。
菅野牧園さんとのご縁は2023年3月、オーナーの菅野義樹さんからメッセージをいただいたところからはじまりました。牧園のファームレストランでいつか展示をお願いできたら、というお話と共に、菅野さんが現在に至るまでの経緯が書かれてありました。
東日本大震災・原発事故によってやむなく福島の故郷を離れ、北海道へと移住し牧場を始められたこと。震災による喪失と向き合いながら、福島出身の現代美術家・佐藤香さんへの作品制作の依頼などをとおして、故郷との繋がりや、見えないものとの繋がりをあらためて強く認識したこと。
ちょうど自分が菅野さんからメッセージをいただいた前後に、福島を旅したいと考えていたこともあり、程なくして菅野牧園さんを訪れ、直接対話する機会をいただくこととなりました。祈りとは何か、暮らしや生活のなかで、人はどのようにして見えないものとの繋がりを確かめることができるのか。その後も何度かお話する機会があり、そのたびに自分にとって大切なことを考える時間となりました。
初めて訪れた日、菅野牧園さんのレストランで 2023.3.21 菅野牧園さんのファームレストランでは、自家牧場産の母牛のお肉を使ったお料理が提供されていて、ここにも菅野さんの思いがこめられています。店内にはさまざまな作家の作品が飾られており、広々とした窓からは雄大な牧草地を眺めることができます。それぞれから感じられるのは自然や動物への畏敬の念であり、その中で豊かに暮らす、人間の可能性なのだと思います。
巨きな絵の前でOUR songs 2023.10.8巨きな絵の設営当日、菅野家のご夫妻とレストランのスタッフさん、そしてお手伝いに駆けつけてくださった近隣のみなさまにご協力いただきながら、単管パイプに巨きな絵を吊り、それを義樹さんが重機を巧みに操って、牧草ロールの上に設置することができました。後にも先にも、重機による展示設営(動画)はないかもしれません…。
これまでに様々な場所で巨きな絵の展示をしてきましたが、ビニールハウスという空間はそれまでとまた違った表情を見せながらも驚くほどの一体感がありました。不思議に思いましたが、かつて自分が長く暮らした新潟の田舎の風景をどことなく重ねながら、いずれも人の手から生まれたものたちであるということを思うと、何となく腑に落ちるものがありました。
トーク&対話イベント 2023.10.8 展示中の9(日)には午前中にOUR songsが、午後にトークイベントが行われました。OUR songsでは大人から子どもまで、菅野家も含む十人ほどがじっくり参加してくださり、ところどころ土で描かれたり足で描かれたりと、画面の隅々に多彩な表情が現れました。
そのあとお昼には菅野牧園のレストランにて、みなさんでランチをいただきました。この時はじめていただいた、菅野牧園で育った母牛のお肉によるハンバーグがほんとうにおいしくて、忘れられない味となりました。
午後からは巨きな絵について、義樹さんと熊谷の二人による対談形式でトークを行いました。簡単な絵解きのようなお話から、義樹さんとそれまでお話してきたこと(祈りについて)とも関連させていきながらお話を展開し、後半は集まった方からのお話やご感想もいただくなど、終始和やかな雰囲気でトークを行うことができました。
個人的にとても印象に残っているのが、この日巨きな絵の前で歌をうたってくださった方が二人現れたことでした。ひとりはOUR songsが終わった頃にネイティブ・アメリカンの儀式でうたわれたという歌を、もうひとりは午後のトークイベントの感想として即興の子守唄のような歌を、それぞれ絵の前でうたってくれました。呼吸するように揺れる絵と呼応するかのようにうたが響く光景は、とても特別なように思われながら、それがとても自然なようにも思われました。(事実その後も巨きな絵の前で何人もの方が音楽を奏でてくれることになります)
巨きな絵の展示は本来7(金)も開催予定でしたが諸事情で中止になったり、土曜日に予定していた在廊も難しくなってしまったりと、色々とご迷惑をおかけしてしまいましたが、ビニールハウスの中で巨きな絵を立ち上げるという稀有な機会をいただけたことは本当に貴重な体験となりました。菅野牧園の義樹さんと美枝子さんに、心より感謝します。
巨きな絵の撤収前に、牧草ロールの上で記念写真